たばことがんの間に深い関係があることはみなさんもご存知でしょう。
40歳以上の日本人男性、12万人以上を、長期間にわたって調査した結果、1日25本以上たばこを吸う人は、吸わない人に比べて、喉頭がんが90倍以上、肺がんが7倍の死亡比になることがわかっています。
しかし、禁煙すればがんになる危険はそれ以上増えず、禁煙後5年くらいたつとほとんど吸わない人と同じくらいの状態に近づきます。
まわりの人も迷惑します
最近は、吸っている本人だけでなく、周囲の人に与えるたばこの害が問題になっています。
紙巻たばこの火のついているほうから出る紫色の煙は、吸い口のほうから出る煙よりも、ある種の発がん物質については含有量が高いことが知られています。
妻が吸わなくても、夫が1日20本以上吸うヘビースモーカーの場合、喫煙しない夫をもつ妻と比べて、肺がんの死亡率が2倍も高いという報告もあります。
日本でも諸外国と同様、肺がんが年々増え、平成10年(1998年)には、胃がんを抜いてがん死亡のトップになりました。
肺がんの予防のために禁煙を心がけましょう。どうしてもというなら、できるだけ本数を減らしてください。
また、たばこを吸いはじめる年齢が低いほど肺がんにかかりやすいということもわかっています。未成年の喫煙にはまわりでも気を配って、絶対に止めるようにしていきたいものです。
第6条 食べものから適量のビタミンと繊維質を多くとりましょう。
★緑黄色野菜をたっぷりと!
ビタミン類は、人間のからだにとって「潤滑剤」のようなものです。
なかでも、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEには、発ガンを防ぐ働きもあることが知られています。
さらに、海藻類や野菜などに含まれる繊維質は、五大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル)に続く「第六の栄養素」として、大変重要視されています。
また、スナック類やインスタント食品の成分表に書いていますビタミン類などは、
化学物質を合成して作られたものです。
自然のものとまったく異なるものもありますので、ビタミンは、なるべく自然な食品からとるようにしましょう。
第7条 塩辛いものは少なめに、熱いものは少し冷ましていただきましょう。
日本人の代表的ながんといえば、胃がんがあげられます。
その割合は、少しずつ減ってきています。とはいえ、肺がんをわずかに下回る程度であり、大腸がん、肝臓がんや乳がんなど他のがんに比べるとまだまだ圧倒的に多いのが現状です。
この胃がんの発生と深い関係があるのが、塩分のとりすぎです。
1日にとる塩分の望ましい量は、通常10グラム以下とされています。
塩分のとりすぎが脳卒中や心臓病などの循環器系の疾患を起こしやすく、一般に塩分をひかえる傾向にあり、胃がんの死亡率も確実に下がってきていますが、
全国平均では、1日当たりの塩分の摂取量は、まだ10グラム以下にはなっていません。
とくに、男女とも50歳代が最も高くなっています。
最近では塩分の摂取量の減少傾向が鈍ってきているみたいです。
ところで胃がんでの死亡率は、地域によって差があることが知られています。この死亡率の差は、昔から塩分の摂取量との間に密接な関係があるとされ、さまざまな研究や調査により明らかになっております。
しおからなど塩分の多い食品を大量に食べないことと、できるだけ塩分を抑えた調理を心がけましょう。
塩分のかわりに酸味をきかせる調理法を工夫してみましょう。
なお、熱い食べ物を冷まさずに食べる習慣もアルコールの場合と同じように、粘膜を傷つけることになります。
43度以上のお風呂にはいると、とても熱いですよね。
それとおなじで胃や食道だって熱いのです。ただ、手や足のように熱さを感じにくいので熱いものが好きな人は、つい、冷まさずに食べてしまうのです。
度重なるとガンが発生しやすい状況をつくるようなものです。あまり熱いものは、冷ましてから食べるように心がけましょう。
第8条 焦げた部分は食べないように
魚や肉を焼きすぎて焦がしてしまうと、焼け焦げの成分に発がん物質が含まれていることが、最近明らかになってきました。
この焼け焦げに含まれる発ガン物質は、調理温度が高く、調理時間が長くなるほど量が増え、とくに、肉や魚、野菜などを直火で焼いたり、フライパンの上で熱を加えて焦がした場合に多くできます。
ふつう、焦げた魚や肉の1食分で口に入る発ガン物質の量は、ほんとにごくわずかです。
研究では、焼け焦げの中に含まれる発ガン物質は、おおむね10種類ほどあることが確認されています。
また、でんぷんや糖などの炭水化物の焦げにも、同じような物質が含まれていることがわかっています。
あまり神経質になる必要はありませんが、焦げた部分がある場合には健康のために取り除いて食べるようにしましょう
第9条 かびの生えたものに注意しましょう。
★かならず食べる前にチェックして
ひとくちにかびといっても、いろいろな種類があります。
研究者の中で有名なものは、ピーナツやとうもろこしに発生するかびの一種が作りだす
「アフラトキシン」という物質で、地球上でもっとも強い発がん物質のひとつであるとされています。
東洋人に肝臓ガンが多い理由として、B型肝炎ウイルスなどのほかに、これらのかびが、関わっているのではないかと疑う学者もいるほどです。
食品の保存には十分注意して冷蔵や冷凍、その他適切な方法で食品を保存しましょう。塩漬け保存したものはなるべく避けるようにしてください。
食品は、なるべく新しいうちに食べましょう。
また、冷蔵や冷凍保存でも過信することなく、料理する前には、かならず食品をチェックしてください。
なお、ある種のチーズのように意図的にかびを用いた食品については発ガンの心配はありませんのでご安心ください。
第10条 日光に当たりすぎない
「太陽光線」つまり紫外線が皮膚に有害であることは、
最近のテレビコマーシャルや雑誌の記事でご存知のかたも多いことでしょう。
夏場の海辺や冬場のスキー場での、お肌のやきすぎはなるべく避けたほうがいいといわれています。
紫外線でやけた肌は、一種のやけどの状態にあります。あかく腫れ上がった状態の炎症が続くと、細胞の遺伝子が傷つけられ、がんを誘発する可能性も高いわけです。
人種的にみると、紫外線に弱いのはメラニン色素の少ない白人で、熱帯地方にすむ白人には皮膚がんや悪性黒色腫が多いといわれます。
それに比べると黒人はずっと紫外線に強く、日本人も黒人並みに耐性があります。
そのため、わが国では比較的、皮膚がんや悪性黒色腫が少ないのですが、まっ黒に日焼けするほど肌をやくことは、なるべくなら避けましょう。
第11条 適度にスポーツを行い、ストレスに気をつけましょう。
「栄養」「運動」そして「休養」は健康な生活をおくるための条件といえます。
疲労がたまれば、気分も憂うつになりがちです。さらに疲労が慢性化し、ストレスが続くと、からだのいろいろな生理機能が低下して、病気にかかりやすくなります。
がんになる危険も高いわけです。
発がん物質を与えた動物にフラッシュをたいたり、高温にしたりしてストレスを加えると、発がん物質だけを与えた場合よりも、がんの発生率が高くなったという実験結果が出ています。
また、疲労によって生じたある化学物質が、ネズミの腫瘍の発育を促進したという報告もあり、疲労とストレスは大敵です。
さらに最近、1日中いすに座って仕事をしている人々の間に大腸がんが多いという研究結果も出されています。
気分転換のためにも、そして健康づくりのためにも、積極的に機会をつくって、適度なスポーツを楽しみたいものですね。
12.からだを清潔にしましょう。
毎日、シャワーを浴びたり、入浴したりして、からだを清潔に保つことで、皮膚がんや陰茎がん、子宮頚がんなどがある程度予防できることをご存じですか?
割礼の風習のあるユダヤ人や回教徒には陰茎がんが少なく、からだを洗う設備の不十分な地域に子宮頚がんが多いことが知られています。
皮膚の汚れのたまりやすい部分を、いつも清潔に保つよう心がけましょう。
いつもさわやかな気分でいることや笑顔でいることも重要な一因です。
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